じんじんする日々

気をつけているつもりでも、その「つもり」が及ばないところで、じんじんは日常的に生産されてしまう

『ビラヴド』トニ・モリスン その4

昨日のケイシー・マスグレイブス @Fuji Rock Festival、よかったですね!

最初は雨模様で心配しましたが、途中からは晴れてきて、そんな神がかりな演出のなか、代表曲の "Follow Your Arrow" へ。

ケイシーのかわいさが見事炸裂。

YouTubeのチャットでも好意的なコメントが溢れていましたね。


Kacey Musgraves - Follow Your Arrow

 

さて、ここからは、学校の課題で書いた英語エッセイを振り返りながら、ああだこうだ言ってみる企画の続編です。

ノーベル文学賞受賞作家であるトニ・モリスンの代表作『ビラヴド』にまつわるエッセイを取り上げています。

 

ビラヴド (集英社文庫)

 

However, this bitter medicine worked well on Denver. Using the break of her ordinary world created by Paul D, Denver stepped out from the grounds of 124 for the first time in eight years and had fun at the carnival with Sethe and Paul D. Nonetheless, Paul D’s triumph did not last long. When they returned from the carnival, they found a drained woman lying on a stump in front of their house. It was the embodiment of the expelled ghost named Beloved. Only Denver could see such unrealistic truth. Based on her affection for Beloved, she decided to protect her returned sister at any cost. Denver later expressed her special fondness as “She played with me and always came to be with me whenever I needed her. She’s mine, Beloved. She’s mine” (Morrison, 247).

今日はさらっと1パラグラフだけ。

ポールDという外界の人間が、突然姿をあらわして、124に住む人たちの人生を大きく動かしていくわけですが、その序盤の部分ですね。

彼が居心地のいい内的空間をブチ壊してしまったので、ひきこもりのデンバーちゃんはブチ切れたわけですが、内に引きこもる理由もなくなってしまったので、8年ぶりに家の外へ出て行く決心をつけました。

黒人のためのカーニバルに出向いたのですが、これが行ってみると楽しい。悪くない。

ポールDとセサと三人でルンルンと、これからどうなっていくのかなどと淡い夢を描き始めたところで、さらなる new twist です。

ポールDに追い出されたあの霊が、形を変えて帰ってきました。

お母さんは案外すぐには分からなかったようですが、デンバーちゃんはすぐに気がつきました。

あ、あの赤ん坊の幽霊だ。

ってことは、マイ・シスターだ!

 

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▲「マイ・シスター」のご登場。映画版より。

 

このあたりは、物語の序盤に起こる出来事を、終盤に明かされる裏話を差し込みつつ紹介していくという手法をとっています。

昨日カバーした部分と同じやり方です。

ストーリーテリングの豊潤な紆余曲折を無視して、時間軸でグサリと串刺しにしていく。

これが効果的だろうと思ったぼくは、後に物語記述が回想シーンを飛びこすまで、このパターンを頼りに論を進めていきました。

(つづく)

 

ビラヴド (集英社文庫)

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Beloved (Vintage International)

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