じんじんする日々

気をつけているつもりでも、その「つもり」が及ばないところで、じんじんは日常的に生産されてしまう

『ビラヴド』トニ・モリスン その1

学校の課題で書いた英語エッセイを振り返りながら、ああだこうだ言ってみる企画です。

まずはノーベル文学賞受賞作家であるトニ・モリスンの代表作『ビラヴド』にまつわるエッセイを取り上げてみます。

 

ビラヴド (集英社文庫)

 

Denver Not Belonging to the Slavery

Toni Morrison’s Beloved is centered on experiences of a former fugitive slave Sethe. Two of its key episodes are her experiences of killing her own child in an attempt of family suicide (as a last resort to protect her children from the chains of slavery), and having a “return visit” of a 19-to-20-year-old woman named Beloved, who is believed to be the embodiment of the grown-up spirit of the murdered baby. That said, in order to understand the meaning of Beloved, I believe the third character of Denver should be focused on rather than Sethe or Beloved. Therefore, I will firstly confirm the significance of Denver’s role by examining the structure of the story, and then analyze the meaning underneath the storyline from the viewpoint centered on the character of Denver.  

 

最初の太字がタイトルで、残りはそれに続くファーストパラグラフ。

 

このタイトル("Denver Not Belonging to the Slavery")は弱い。弱いなー。自分でもわかるくらい弱い。

本当は考え直したかったのだけど、締め切りまでにいいのが思いつかなかったのでした。

今であれば "From Outside of the Slave Plantation" とかにするでしょうか。

ほぼ同じ内容を盛り込みつつ、引き締めてみました。

デンバーちゃんを主題に据えているということを、直接的に言ってしまいたいのですが、それをグッとこらえてガマンしたというのがポイントです。

また、第三者視点だったのをデンバー視点にしたことで、臨場感が少しは出せているし、彼女の存在を匂わすこともできているのじゃないかと思います。

 

Toni Morrison’s Beloved is centered on experiences of a former fugitive slave Sethe. Two of its key episodes are her experiences of killing her own child in an attempt of family suicide (as a last resort to protect her children from the chains of slavery), and having a “return visit” of a 19-to-20-year-old woman named Beloved, who is believed to be the embodiment of the grown-up spirit of the murdered baby.

ファーストパラグラフ、冒頭からなかなか大胆に攻め入っているでしょう。

とはいえ、誰が読んでもそうだよね、という物語のコアイベントの取り出しであり、そこに独自性などは見られません。

どちらかと言えばここでやっているのは、他の箇所を思い切って捨てるということです。

いちばん短い説明文を書く場合に記載されるべきもの、というつもりで考えてみました。

それが、「逃亡奴隷」「子殺し」「幽霊になっての帰還」の3点でした。

 

2センテンス目がひどく長いわけですが、これをスッと3つのセンテンスに分けるとかができないのが、今の自分の英語力の限界部分となっとります。

だいたい文章が長くなりすぎるのが、わたくしめのクセなのです。

日本語でも似たようなもんでしょうが、英語だとさらにそのあたりのハンドリングがむつかしい。

丸カッコなどを入れてごまかしていますが、それが吉と出ているか凶と出ているのかは、自分では判断つきません。

まぁ、嫌われる可能性が結構ある文章になっているというのはわかります(泣)

 

That said, in order to understand the meaning of Beloved, I believe the third character of Denver should be focused on rather than Sethe or Beloved. Therefore, I will firstly confirm the significance of Denver’s role by examining the structure of the story, and then analyze the meaning underneath the storyline from the viewpoint centered on the character of Denver.  

後半部分、これはタイトル以上に弱いでしょう(号泣)

いわゆる thesis statement の部分なのですが、それがどういうものだったか忘れた状態で、こんな風にするんだっけか? という当てずっぽうでやったら見事に外れてしまったという代物です。

それをセンセーに「ご査収ください」とやってしまった…。

 

最初のセンテンスの「I believe」なんてのはここでは要りませんね。

ふたつめのセンテンスの運び方もふさわしくない。

「このエッセイではこういうことをしてみるつもりです」なんていうのは、求められていないのです。

冒頭で一番言いたいことを書け! というアメリカスタイルを金科玉条とは思っていないのですが、そういうこともできるようにしておくのは、これからアメリカやらグローバルな世界やらで生きていくには、大切なスキルということになってくるでしょう。

ということで、ウダウダ言うのをいったん止めて、やってみます。

デビカ 地球儀 グローバ地球儀13 073011

わたくしの元の文章では、

「しかし、この物語を深く理解するためには、セサやビラヴドではなくて、三人目のキャラクターであるデンバーちゃんに注目する必要がある。であるから、まず最初に物語の構造を精査することにより、デンバーちゃんの役柄の重要性を再確認し、そして、そのキャラクターの視点でもって、物語の奥にある隠れた意味を探りたい」

というようなことを書いています。

 

これを、アメリカ的に言い切るようにしてみます。

この「奥にある隠れた意味」というのを言ってしまうということでしょうね。

「しかし、この物語を深く理解するためには、セサやビラヴドではなくて、三人目のキャラクターであるデンバーちゃんに注目する必要がある(ここまで同じ)。セサやビラヴドが経験した困難に加えて、奴隷システムの外で生まれ育ったデンバーちゃんの成長物語を見ることではじめて、奴隷システムが people of color に与えた今なお消えない烙印(スティグマ)の全体像が浮かび上がってくる」

とかなんとか。

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▲ビラヴド映画版より。左からデンバーちゃん、セサ、ビラヴド。

 

これでどうでしょう。

エッセイ導入としては、少しはマシになったでしょうかね。

 

このエッセイ、長短ありますが、あと10パラグラフあります。

まだ先は長い。

ひとまずこの企画を完遂するのが目標です。