じんじんする日々

気をつけているつもりでも、その「つもり」が及ばないところで、じんじんは日常的に生産されてしまう

『ビラヴド』トニ・モリスン その9

今日は昼から妻方の親戚の集まりで、グッタリ疲れてしまいました。

それなのに、フィットビットによると計2800歩しか歩いていないらしく、完全に運動不足の一日となってしまいました。

たしかに、歩いた記憶はほとんどない…。

座りっぱなしの後、立ちっぱなし。

それでもこんなに疲れているのは、途中で湖のほとりに出て長時間だべっていたのが効いたのでしょう。

真夏の太陽光線にすっかりやられてしまいました。

 

f:id:jinjin442:20180805161212j:plain

▲でも、いろいろな親戚に久しぶりに会えたのはよかった。

 

さて、ここからは、学校の課題で書いた英語エッセイを振り返りながら、ああだこうだ言ってみる企画の続編です。

ノーベル文学賞受賞作家であるトニ・モリスンの代表作『ビラヴド』にまつわるエッセイを取り上げています。

この企画の、ひとつ目の記事はこちら

 

ビラヴド (集英社文庫)

 

However, if I consider Denver’s standing out characteristic of not directly belonging to the world of slavery, it becomes noticeable that with her writing consists of a complicated mixture of location, generation, and narration, Morrison plentifully exemplified how Denver was not free from the shadow of slavery. She was not forced to work as a child laborer. She grew up under the care of her mother. She could be heroic, and her life could be positive. But, she was not free. She was, in fact, fully assigned to start off with the ghost of the slavery system.

今回は、マイ・エッセイの締めくくりパートです。

ちょっと短いですが、これまで追ってきた物語の展開を受けて、「私」という視点から論じています。

 

俺の道 (CCCD)

 

However, if I consider Denver’s standing out characteristic of not directly belonging to the world of slavery, it becomes noticeable that with her writing consists of a complicated mixture of location, generation, and narration, Morrison plentifully exemplified how Denver was not free from the shadow of slavery. 

まずは前半部分。

ひとつ前の段落を受けて、「物語の結末では、一家の幸せが暗示されているのだけれど」という書き出しにしてあります。

「それだけではないでしょう」という意図です。

物語を読み終えたところで、あらためて私のエッセイの主題のところから考えてみると、あることが実感されたのです。

 

f:id:jinjin442:20180806104832j:plain

▲左から、デンヴァー、セサ、ポールD。映画版より。

 

私のエッセイの主題は、「デンヴァーというキャラクター」にあり、また「直接的には奴隷制と関わりがない」(「その2」参照)という彼女特有のキャラ設定にありました。

彼女の生誕地が、プランテーションではなく自由の地であり、彼女の人生のほぼすべてが奴隷制の分水嶺の「こちら側」に属している(つまり、南北戦争以降のことであり、自由州のオハイオ州内のことである)ということを重視したのでした。

そして、彼女のその属性が「奴隷制をテーマにしているこの物語を理解するための鍵になる」と書きました。

それを念頭に、物語全体を眺めてみると、トニ・モリスンが、「奴隷制の落とした影が、デンヴァーの人生に(そして奴隷制廃止以降の人々の人生に)いかに影響を与えているか」ということをさまざまに例説しているように感じられたのです。

 

She was not forced to work as a child laborer. She grew up under the care of her mother. She could be heroic, and her life could be positive. But, she was not free. She was, in fact, fully assigned to start off with the ghost of the slavery system. 

直接的には奴隷制に属さないため、デンヴァーは、

  • 子供時代に強制労働を課されたこともなかったし
  • 自分の母親の保護のもとで育つことができたし
  • 市井において成長物語の主人公になることができたし
  • ポジティブな人生を送ることができました
    (奴隷制廃止前だったらどうだったでしょうか)

が、それでも、彼女は真の意味で「フリー」ではありませんでした。

なんせ、思い出してみれば、彼女の人生ははじめから奴隷制のゴーストにつきまとわれていたのですからね!(という親父ジョーク)。

 

f:id:jinjin442:20180806010138g:plain

▲不謹慎ジョーク、すみません m(_ _)m

 

もうちょっと肉付けすれば、ここでエッセイを終えることもできただろうし、そのほうがよかったかもしれないとも思うのですが、このエッセイはそうなっておらず、もうひとつオマケが付いています。

(つづく)

 

ビラヴド (集英社文庫)

ビラヴド (集英社文庫)

 

 

Beloved (Vintage International)

Beloved (Vintage International)