じんじんする日々

気をつけているつもりでも、その「つもり」が及ばないところで、じんじんは日常的に生産されてしまう

日米食文化のちがい その5

今日、嬉しいメールが舞い込んで来ました。

奨学金(返さないやつ)をもらえることが決定したというメールです。Congratulations! から始まる怪しげなやつでした(笑)

学費をカバーするのに十分な額ではありませんが、それでもありがたいもの。

お金をいただけるということ自体ももちろん喜ばしいのですが、サイドエフェクトとして、よし、もうちょっとあれこれのスカラーシップに申し込んでみようという思いを強くできたのもありがたいこと。

しっかり勉学に打ち込めるよう、さらにがんばってまいります。

 

f:id:jinjin442:20180819131549j:plain

 

さて、ここからは、学校の課題で書いた英語エッセイを振り返りながら、ああだこうだ言ってみる企画の続編です。

第二弾の今回は、2015年の秋にESL(English as Second Language)のクラスで書いた日米の食文化に関する比較対照エッセイを取り上げています。

この企画の、ひとつ目の記事はこちら

 

f:id:jinjin442:20180814124755j:plain

 

We have so far observed the differences between the two countries, but there always be similarities on the flip sides of the coins. In both countries, we saw that there are certain manners to provide a variety of plates for dinner, that the quality of the time over the meal is the important value of the meal in addition to its flavor and taste, and that there are the expected roles and responsibilities related to the cultural values for both cook and diner.

 

このエッセイは、

  1. 導入
  2. 日米の相違(1)
  3. 日米の相違(2)
  4. 日米の相違(3)
  5. 日米の相似
  6. 締め

という構造になっているのでした。今日は「5. 日米の相似」を見ていきます。

日米食文化の似ているところ、ですね。

 

f:id:jinjin442:20180819115652j:plain

 

We have so far observed the differences between the two countries, but there always be similarities on the flip sides of the coins. In both countries, we saw that there are certain manners to provide a variety of plates for dinner, that the quality of the time over the meal is the important value of the meal in addition to its flavor and taste, and that there are the expected roles and responsibilities related to the cultural values for both cook and diner.

えー、しかし、なんでしょう。肩すかしみたいな技を使ってかわそうとしています。イマイチ好ましくない学習姿勢です。

一応、なぞっておくと、「ここまで見た通り、両国とも(1)配膳の仕方には特有の作法があるし、(2)食事の時間には、「うまさ」と「楽しさ」という二つの基準を持ち込んでいるし、(3)作り手にも食べ手にも、社会的に期待されている役割や責任というものがある」というもの。

エッセイを書いていたとき、あまり時間がなかったんでしょうか。今までやってきたことのメタ情報を並べてお終いにしています。

何が良くないって、これがおもしろくない。

反省して、あらためて「日米の食文化の似ているところ」というのを考えてみたいと思います。

 

f:id:jinjin442:20180819063029j:plain

▲先生、ごめんなさい。

 

しかし、ここで気づかされるのは、ここまで日米の食文化の比較といって伝統的なディナーテーブルにおけるマナーのちがいを扱ってきたわけですが、「伝統的なディナーテーブル」って何のこと? という部分をしっかり定義せず、おざなりにしてきてしまったということです。

「似ていること」を探そうとすると、この設定では自由度が広すぎて、何も浮かんできません。

そこで、「伝統的なディナーテーブル」の対象像をもうちょっと限定してみようと思います。 

どういう設定がいいでしょうか。

  • アメリカのステーキハウスと、日本の寿司屋?
  • アメリカのステーキハウスと、日本のステーキハウス?
  • アメリカのジャパニーズレストランと、日本の寿司屋?

それとも案外、

  • アメリカのイタリアンレストランと、日本の中華料理屋?

と少し悩みましたが、ある程度自分の説に都合のいい設定ということで、

  • アメリカのステーキハウスと、日本のとんかつ屋

と設定してみることにしました。

 

f:id:jinjin442:20180819094419j:plain
f:id:jinjin442:20180819094428j:plain

 

こんな感じ。ラフすぎず、ファンシーすぎないイメージです。

では、ステーキハウスととんかつ屋さんでの夕食の場面を思い描きながら、「日米の食文化の似ているところ」を探してみます。

  1. 食べ物、飲み物のちがいはあれど、同行者の準備が整うまで、口をつけないで待つというルールは似ています。分けるときは、まず飲み物からオーダーするという点も同じです。

    f:id:jinjin442:20111029221236j:plain

    ▲日本では、乾杯まで飲まずに待つというのが一般的なルール

  2. 日米両国とも、食事のスタートとフィニッシュの合図があります。アメリカでは、みんなの料理が揃ったところがスタートの合図です。「みんな、揃ったね?」という感じで。そして、お腹一杯食べた後に「まだほかに欲しいものはある?」という問いに、「いや、もう結構です」というのが終了の合図となります。一方、日本では、「いただきます」「ごちそうさま」というとても便利でわかりやすい合図がありますので、ひとりひとり別々に食事をスタートすることも可能です。

  3. そもそも、仲間や家族とテーブルを囲んで食事をとるというところが同じですね(日本の西洋化のためでしょうが)。通常、自分用のお皿がいくつか目の前に置かれて、大皿料理がある場合に、それを自分の小皿に分けて食するというマナーも同じです。

  4. 基本的に、箸やナイフ&フォーク等を使って、手を汚さずに食べるというのも似ているところです。

    f:id:jinjin442:20180819105140j:plain

    ▲世界には、手で食べる文化もあります(ヒント:ピザ、寿司)。

  5. 食器の形は、一見似ているようにも思いましたが、日本は手持ちのお椀型、アメリカは据え置きのフラット型という傾向があるようですので、「ちがい」としてカウントしたほうがおもしろくなりそうです。

  6. 肉や魚がメインとしてあって(今回の例では、牛肉 vs. 豚肉)、それを炭水化物、野菜、スープなどが囲むというバランスが似ています。

  7. 日本ではご飯が、アメリカではパンがおかわり自由だったりします。さらに、アメリカではジュース(ソーダ)のおかわりも無料だったりしますが、日本ではお茶が無料でもらえたりします。

  8. そもそも、メニューが用意してあって、ウェイターがひとりひとりのオーダーをとって、料理を席まで運んできてくれるというシステムが似ています。家族が団欒できるようなレストランでは、どちらも後払いというのが基本ですね。

    f:id:jinjin442:20180819105501p:plain

  9. アメリカでは、食事が提供されて少ししてから、ウェイターが「お味はいかがですか?」と聞きにきます。必ず。これは、味の美味い不味いもあるでしょうが、小皿をくれ、マヨネーズをくれ、などの要望があるときに伝えられるように来てくれるのだと思います。

  10. 日本では用事があるときは、「すみませーーん」といってお店の人を呼ばなければなりませんね。アメリカでは、「すみませーーん」は厳禁です。ウェイター側が、用事がありそうなお客さんのシグナルをキャッチしなければなりません。キャッチするまで基本的に待たないといけません。

    f:id:jinjin442:20180819104941j:plain

    ▲そんな日本では「すみませんボタン」も発明されています。

おっと、これは「ちがい」になってしまっていますね。

 

   *  *  *

 

まぁ、こんなところでいかがでしょうか。

 

途中、日米の食事にまつわる文化で、一番のちがいのひとつに「チップ」というものがあることに気がつきました。

上記の9番と10番のところ、アメリカの作法がウェイター発信になっているのは、「チップ」の習慣があるためかな、と考えました。給仕文化のためでしょう。

 

そこのところを「self-centeredness」で計ってみるとどうなるでしょうか。

……

むずかしいですね。

 

自分の好きなタイミングで、「すみませーーん」と呼びつける日本式もなかなかなんですが、ウェイターのほうが気付けよと、気付かなかったら罰してやるぞいというアメリカ式も相当です。

まぁ、今回は引き分けということにしておきましょう。

 

f:id:jinjin442:20180819115022j:plain

 

次回はラスト、「6. 締め」です。

(つづく)

 

マクドナルド化と日本 (叢書・現代社会のフロンティア)

マクドナルド化と日本 (叢書・現代社会のフロンティア)

 

 

アメリカの鏡・日本 完全版 (角川ソフィア文庫)

アメリカの鏡・日本 完全版 (角川ソフィア文庫)