じんじんする日々

気をつけているつもりでも、その「つもり」が及ばないところで、じんじんは日常的に生産されてしまう

映画『ブラインドスポッティング』関連インタビュー その1

今日はちょっと足を伸ばして、セントピートのビーチで海水浴をしてきました。

楽しかったけど、おかげでかなりグッタリしています。

 

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ホテルの宣材写真より。テント型パラソルをひとつ借りたけど暑すぎでした。

 

少し疲れてはいるのですが、今日は、おととい鑑賞した「Blindspotting」というカリフォルニア州オークランドを舞台にした映画について、もう少し広げていきます。

 

jinjin.hatenablog.com

 

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人気番組の『ザ・デイリーショー』に、主役のふたりがインタビューで出たときの映像から、特に印象的だったパート(5:35あたりより)をご紹介します。

Daveed Diggs & Rafael Casal - Navigating the Prison System in "Blindspotting" - Extended Interview - The Daily Show with Trevor Noah (Video Clip) | Comedy Central

 

-- And then another major thing that we're dealing with the entire time is the theme of gentrification. You know, San Francisco and the Bay Area is dealing with this in major ways, and, like, this is a big theme in the story. 

Rafael: Yeah, absolutely. I mean... Oakland, California, San Francisco, we've been going through this massive turnover and-and this influx of new people that are coming in. 

Daveed: Y'all don't know nothin' about that.

Rafael: Y'all don't know nothin' about that here in New York. 

サンフランシスコ・ベイエリアで今、問題となっているのがこのジェントリフィケーションという問題です。これひとつでも複数のエントリーが必要なビッグイシューですが、ウィキペディアによると

ジェントリフィケーション英語Gentrification)とは、都市において比較的貧困な層が多く住む中下層地域(インナーシティなど都心付近の住宅地区)に、再開発や新産業の発展などの理由で比較的豊かな人々が流入し、地域の経済・社会・住民の構成が変化する都市再編現象である。(中略)これにより、貧困地域の家賃・地価の相場が上がり、それまで暮らしていた人々が、立ち退きなどによって住居を失ったり、それまでの地域コミュニティが失われたりすることが問題となる。

ということです。ベイエリアの場合、要するに、好況のTechインダストリーが高給取りの従業員を呼びあつめるために、ローカルの人たちが押しやられてしまって、昔からのコミュニティが崩壊しかねない(地域経済が回らなくなる)という問題です。

「ニューヨークに住むお前らにゃ、到底わからんことだけどよ」と冗談半分で笑いにしていますが、それだけ厳しい状況にあるんだということですね。

 

Rafael: Um, you know, but that... that is affecting this community... you know, so intensely, and-and... and them sort of in similar and different ways, and my character Miles is so... he's had to... he's... We always describe him as a... a minority among minorities, right? 

-- Right. 

Rafael: He's the only white dude around a community of black and brown folks, and he's been that way his whole life. And now neighborhood is changing, and he's had to fight so much for space and his identity and to get everyone in the area to, like, respect and know him throughout his entire life

んで、ここからラファエルさんが演じたマイルズという男の話になっていきます。

インタビュー序盤に司会のトレヴァー・ノアーが「マッドマン」と形容した白人男のことです。

「マイノリティのなかのマイノリティ」というキーワードでもって説明しているのは、彼の味わい深すぎるバックグラウンドです。

マイルズは、アメリカで一般的にマイノリティとされる黒人や有色人種のコミュニティで、「たったひとりの白人」というポジションでずっと育ってきました。謂わば、みにくいアヒルの子状態ですね。

そんなポジションで、まわりに自分のことを認めてもらうために、彼はずっとがんばってきました。

しかし、ジェントリフィケーションという外からの波により、地元の地域コミュニティがすっかり変わってしまったのです。

 

Rafael: And now this influx of people are coming in, and not only are they changing his context, but then he's starting to, like, get mistaken for the... for the... what he sees as, like, "Well, they are the colonizers, I'm from here."

-- Right, right, right. 

Rafael: You know? Which is... This shit is layered, people. All right?

(laughter) 

努力の末に、ようやく一人前のアヒルとして受け入れられていたマイルズでしたが、そこに外来種が侵略してきた結果、アヒルさんたちの生活基盤が壊されてしまって、彼が努力して築いたものが一瞬で水の泡となってしまいました。

さらに、その地域で生まれ育って他をろくすっぽ知らないような内面性の彼が、よりによってその外来生物と見間違えられて新しい地元民から敵対視を受けるようになってしまうという、この悲しみ。

いいかい、この問題は重層的なんだよ! といって、彼のなんともうら悲しい性(サガ)を解説してくれています。

 

英語のみですが、7分間の短いインタビューなので、興味がある方はぜひご覧ください。

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